
長編デビュー作の「蛇イチゴ」で
人間の善と悪をコミカルに描き出し
オリジナル脚本が注目された
西川美和監督。
前作同様に兄弟の関係を軸に
人間の内面を鋭く掘り下げ
作り上げた長編第2弾の
「ゆれる」
写真家として活躍する早川猛(オダギリジョー)は
母の1周忌のために帰郷するが
葬儀に立ち会わなかった彼に
父・勇は冷たい態度をする。
逆に温厚で心遣いの出来る
兄・稔(香川照之)は
猛を暖かく出迎える。
法事を終えた猛は
兄の経営するガソリンスタンドで働く
幼馴染の智恵子(真木ようこ)と再会し
一夜をともにする。
翌日、兄弟と智恵子は
蓮美渓谷に向かう。
そこには「ゆれる」の元になる
吊り橋があった。
吊り橋の上で稔と智恵子が
もめているのを
離れたところから猛はみていたが、
次の瞬間、吊り橋の上には
激しく流れる渓流を見下ろす
稔だけの姿しかなかった。
その時から猛の心の「ゆれ」が始まり
同時にそれは兄弟の「ゆれ」でもあった。
映画の中で、各人物の
心の「ゆれ」を見事に描いているが
「ゆれ」の真相を「ゆれ」たままで
観客にも問いかけの形で
「ゆれ」を与えてくれる。
今まで以上に役者として開花した
「オダギリジョー」の演技にも
心が「ゆれる」
それに劣らず香川照之の
好演も光る。
何気ない表情の中に
隠された心の内が伺える。
この二人がいなければ
この映画は成り立っていないと思う。
「ゆれ」たままで終わるラストは
意図的な演出に違いない。
秀作だが難しい作品。



